日本社会を生きる人々との対話へ
エヴァさん―愉快な勉強法が見つけられてよかったです。
エヴァさん―愉快な勉強法が見つけられてよかったです。
−ニコ動見て、どんどん勉強しました。
エヴァさんは香港出身の大学生ですが、留学先の台湾の大学から1年間の交換留学生として来日しました。子どものころからニコニコ動画を使って独学で日本語を勉強してきました。日本の大学では、ニコニコ動画に関するサークルに入って活躍していました。日本語の勉強を始めたきっかけは友達が日本語の勉強を始めたからでした。
−中学校の友人が香港の日本語学校で1週間に1回勉強して。私、ライバル意識を持ったから、私も勉強したかったけど、親がお金は出してくれないから、ネットで探した日本語の文法のサイトで自分で50音と、文法、確か、「が」、「は」、「て」、「を」、だけを覚えて。でも、勉強するのが嫌いなので、だんだん見なくなりました。
ニコ動は子どものころ好きだったボーカロイドからたどり着きました。
ボーカロイドずっと聞いてました。中国語のサイトでそういう動画を転載する人がいて、日本の『炉心融解(ロシンユーカイ)』って曲を聞いて、ああいい曲だなと思って、どこからのか、発信元とか調べたらニコニコ動画だって。それからニコ動を見るようになった。
ニコ動は日本語の宝庫でした。
−ニコ動見て、どんどん日本語を勉強する。ニコ動を見て1年後かな、最初は翻訳っていうか、慣れたら、多分1年半くらいかかって、もう中国語のサイトはやめちゃって、日本語のサイトだけ見てました。
日本語の勉強になるのは歌よりもやっぱりゲーム実況でした。
−最初、歌ばっかり聞いて、歌詞とか、日本語を勉強できると思ったんですけど、あんまり効果がなかったですね。そのあとで、すぐゲーム実況のほうに移行した。
まずは日本語初心者向けの「マリオ」からです。
−ゲーム実況を見始めたころは、日本語わからないので、確か、『マリオ』をやっている人の動画を見てて、あの人、簡単な日本語しか言っていないので、ああじゃあ私もわかるかなって。マリオが落ちるときに、「あー」とか、「わー」とか。簡単なのでわからない言葉は結構少ないです。叫び声だけ、あと単語も少ないから、わからないとき、コメントで流れる文字を見て、ああ、そういう単語だって、最初は。だって、しゃべってる言葉わからなかったら、ゲームも面白くないですよ。
動画の内容を理解するには字幕はもちろん、実況者の話し方も大事です。
−字幕があるゲームが見やすいです。日本語字幕だとしても漢字があったので、何となく当たることができました。字幕があって、しゃべっている人がゆっくりしている。テンション高いのは、無理です。今は、OKだけど、最初無理だった。
話の内容が理解できるようになるまでは実況よりゲームの面白さが大切です。
−最初無理ですね。ずっと聞いているだけ。なんか聞いても、文が全部わからないんですけど、でも一応何回も繰り返して。でも結局わからない。最初は、1年か2年かずっと、短い単語しかわからなかった。かわいいとか。上手とか。解説している人が何しゃべっているか、ほぼわからないので、解説はどうでもよかったって感じ。それよりゲーム自体が面白いのが大切です。
実況内容が理解できるようになるのは長い道のりでした。
−『絶体絶命都市』の解説は大変でした。ひどいときには、すごく意味がわからない文で、7回か8回くらい繰り返しても、結局わからなかった。『絶体絶命都市』はパート1からパート30何とかまであります。でも1回始めたら、ずっと続けないとなんかもやもやします。だから、大体ストーリーがわかったらOKにして次のを見てました。
ニコ動特有のことばはGoogleで検索して理解します。
−例えば、こんな感じ。動画をアップロードするときに、「うp乙」。アップお疲れさまみたいな。ニコニコ動画のコメントはコピーできるので、知りたいのはコピーして、Googleで検索して、どんな意味か探したり、もしかしてこんな意味かもと探してみたり。
聞くだけじゃなくて自分も何か発信してみたくなりました。
−記録がありますので、最初私がどんな発信したのか調べてみたけど、最初は点が一つだけ。「・」。謎のコメント(笑)。多分テストみたいな感じで押したかもしれない。私、そのときすごく緊張してた。あと、「あ」。例えばマリオが落ちたときに、「あ」みたいに。10回くらい。
見るだけじゃなくて私もゲーム実況者になってみたくなりました。
−台湾のブログで、ニコニコ動画の実況動画を紹介するサイトがあって。その動画がどうして面白いか紹介してる。そのブログが面白かったのでよく見てました。それで、実況している人の日本語を聞いて、コメントとか実況する人のやり方をちょっとチェックして。自分の趣味だし、せっかくなんで実況やってみようって。
実況がうまくできるようになるために反省会を開いてまた実況をします。
−実況中、文法が間違ったときに、これ間違ってるっぽいって、見てる人がコメントしてくれる。そして、大体、1回放送をやったら、自分の心の中で反省会が開かれる。流暢ではない、しゃべっているときに、ずっと止まっている、止まっているのはどうしてだろうって。単語も思い出せない。あと、コメントで「ひどい」って言われてることもありました。で、反省会のあと、もう1回、生放送する。でも、たまに自分、本当に反省を生かしてやってないなって気になったときあったんですけど、その時は自分の音を録音して聞いてました。
ニコ動の情報を発信していたブロガーが住んでいる台湾の大学に行くことにしました。
−高校生の時だいたい日本語話せて、有利だったから、台湾の大学の日本語学科に。ニコ動も香港より人気で、日本語を人気があるし。そして、大学1年生の10月、台湾に留学してきた日本人がボランティアやってて、その人と初めて日本語しゃべった。リアルで。それが楽しくてもっと話したいし、それで日本に来ました。
将来はイラストレーターになりたいです。
−日本語は直接仕事に関係してもいいし、関係しなくてもいい。自分なりに日本語利用できる場所を見つけたんで。イラストレーターになれなかったら、サイトを作って何とかします。中国語と日本語と両方のサイトを作りたい。
(終わり)