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2020.03.23

いただきます。 ひかる

前菜

さあ、どこから語り始めようかな。

暦を繰ると、日本に来てもうすぐ九ヶ月になり、いつのまにか日本ならではの四季折々の景色が、メリーゴーランドのように目の前に色鮮やかに回っていった。子供の頃からずっと日本を憧れてきたが、まさか本当に日本で生活できるなんて、きっと数年前の私にとって信じられないことだろうと思う。
 こんな生活はずっと夢に見てきたので、ここでの時間を絶対無駄にするわけにはいかないっていう考えは最初来たばかりの頃頭の中でいっぱいだった。生まれてから二十二年間いつも実家に住んでいた私は、枝を離れて飛翔していく花びらのように、親元から離れて巣立つことへの興奮に胸を膨らませた。ゆで卵の作り方すらわからなく、日常の生活でバカバカしいことばかりしていた自分だったが、毎日学校で勉強に励んだり、晩御飯を作る時友達に料理の腕を磨いてもらったりしつつ、日本のあちこちで旅行するキラキラした夢を思い描いていた。

「じゃ一緒に旅に出ようよ」、と。

最初は友達からのたった一つの言葉だったが、差し伸べてくれた手を何を考えずに握ってから、実際的な行動と計画で紡いていくにつれて、気がつくと旅行の夢地図が広く描かれた。元々食べ物に対していつも消極的な態度を持っていた私も、思いのほかグルメに興味をそそられるのもさることながら、旅の中からさらにもっと多くの、形のない宝をもらった。友達と一緒にグルメを食べたり、一緒にトコトコの路面電車に揺られたり、一緒に夕日を見るために黄昏る空の下に橋の上で走ったりしたことを、噛みしめれば噛みしめるほど味が発酵していって、胸から溢れんばかりに心に沁みていて、そしてそれぞれの味が少しずつ今の私を作ってきた。

だから、ここから書こうと思うのは、
色とりどりの旅と様々な味の物語。
読んでくれているうちに、少しでも、私と一緒にいただきましょうか?

平成三十一年四月 京都

ひかる