日本とデンマーク、比べてみました―ドラッグストアの気遣い― アナスさん
日本とデンマーク、比べてみました―ドラッグストアの気遣い― アナスさん
私は去年の11月にドラッグストアでのアルバイトを始めました。そのドラッグストアで私がしていた仕事は、お客さんとの接客、そしてレジの仕事でした。以前、デンマークでも同じような接客のアルバイトに携わりしましたが、接客方法が異なっているところがいくつもありました。その中で最も興味を持ったのが気遣いです。気遣いは私が育ったデンマークの文化にももちろんありますが、日本の接客の中でされる気遣いには違和感を覚えました。
まず、気遣いとは何でしょう。「気遣い」を調べてみたら、上手くいくように、失敗しないように心を配ることという意味が出てきます。さらに、気遣いには、相手のことを思い、気を遣うというニュアンスがあります。
そこで、この定義をもとに、日本の気遣いに満ちた接客と以前体験したデンマークの自由な接客を比較し、それぞれの優れている点と欠けている点を考えてみようと思いました。つまり、日本の気遣いvsデンマークの気遣いです。
方法としては、今アルバイトしているドラッグストアをフィールドとして、接客を観察し、パートさんにお店の正しい接客方法を教えていただいたうえで、デンマークのスーパーでの接客体験と比べてみました。
私が観察して気になった具体的な接客は、生理用品の取り扱いが丁寧なところです。お客さんがこういった商品を買おうとされたら、私たち店員にはその商品を透けていない袋に積極的に入れることが求められています。なぜ?ってパートさんに聞いてみたら、生理用品を見える状態で持つことは愚か、店員さんにそうしてって頼むことすら恥ずかしいことなので、お客さんが恥ずかしく感じないように、気を遣うためです。
デンマークでのことを思い出してみると、生理自体恥ずかしいことではないので、隠すための袋を出したら、逆にお客さんに「え!隠すべきなの?」という悪い思いをさせる恐れがあるので、怒らせないように気を遣います。
しかし、日本では極めて多くのお客さんがそのおもてなしを受け入れ、喜ぶ方もいらっしゃっる一方で、勝手に生理用品をわざわざ透けていない紙袋に入れようとしたら、私を止めて要らないと言うお客さんもいらっしゃいました。
他人の思っていることを察して、気を遣うことは、どこでも人がある程度することですが、日本は世界の中で、最もはっきり言わず、相手に気を遣って対話する文化があるので、それとは対照的に、気を遣わず、相手が意見をはっきり言ってくれるだろうと期待して対話する文化で育ったデンマークの私にとっては難しいことです。
どちらのほうが正しいという答えはもちろんありません。ただ、気を遣わないのも、気を遣いすぎるのも、相手によって効果が変わるので、異文化の方と対話する場合は、こういうことをしっかり注意しなければ、誤解を招く可能性があります。
さて、次は機会があれば、観察ではなくお客さんに感想を聞かせてもらって、もっと面白い分析ができたらなと思っています。
(終わり)