日本社会を生きる人々との対話へ
ウォンさん―めっちゃ幸せです。ハッピーすぎて最高です。
ウォンさん―めっちゃ幸せです。ハッピーすぎて最高です。
−将来の計画は全部立てています。万全です。
ウォンさんは韓国の高校を卒業してそのまま日本の大学に入学しました。
−将来は大学院行って、で、日本で就職したいからなんですけど、やっぱりけっこうめっちゃいい企業に入りたいので、そうやったら日本人と競争するじゃないですか。で、ぜったい日本人には日本語で勝てる自信がないので、何をしても。だから、日本人にはできない韓国語とか英語とかうまくなって、それを利点に生かしたら就職いけるんじゃないかなと、そういうふうに思って。ワーホリとかいって、1年ぐらい勉強をちょっとして、で、大学を卒業して就職できて、もし入ったら、やっぱ貿易みたいな会社に入りたいんですけど、その中でもちょっと、会社にいろいろ部署があるじゃないですか。で、ほかの国なんか出張行くとかそういうの、国際部みたいな、そこに入りたいというのがあって、日本人の妻と結婚して、子どもを生んで、で、子どもが大学生になって、大学の学費まで稼いで、で、お金をちょっとためて、で、50歳ぐらいにちょっと仕事を辞めるつもりです。私はそんな会社に何かつぶしながら、ストレス受けながらあまり仕事したくないので。で、ゲストハウスを建てるつもりです。
そもそも日本語に興味を持ったのは家族旅行がきっかけでした。
−きっかけは小学校の頃日本に旅行来て、家族で。そこから興味持って。中学校の頃から少年漫画で、『BLEACH』とか。『ONE PIECE』とか見て。やっぱ、でも、あれっすよね。日本語勉強してる人は、大体日本語の勉強したきっかけは、みんな漫画とかアニメが初めてじゃないかと思うんです。僕もだって、『ONE PIECE』とかそういうのめっちゃ好きだったので。
日本語だったらできるかもしれないと思いました。
−『BLEACH』とか『ONE PIECE』とかは韓国語で読みました。で、アニメでも見ました、あれは。アニメでもずっと見てて、何かちょっと日本語を聞いてたら、自動的に聞こえるようになったんです。知らないうちに何か。韓国語の字幕で見て理解しながらで、あとで聞いたら聞こえるようになって、字幕なしでも何の意味かわかるようになりました。何も勉強してなかったのに。完璧じゃないっすよ、もちろん。意味だけ。大体の意味だけ。で、塾行って日本語聞いたときも、けっこう聞き取れて、そのときわかったんです、自分は外国語に才能があると(笑)。
日本語を勉強したいと思って両親に相談しました。
−高校1年生入って、本買って、ちょっと興味あって、自分で何か。ひらがなとカタカナだけ勉強して。で、そのあと親に相談して、学校の勉強で、あんまり国内でいい大学入る可能性が低そうだったから、日本語勉強して。日本語で最初は、国内の日本学科の、外国語大学に行こうとしたんですけど、それだったら留学のほうがいいじゃないかって言われて。それでもう始まったんですよね、日本語は。そもそも日本語は好きだったんですけどね。
学校の勉強は役に立たなかったけれど、日本語の塾の勉強は楽しかったです。
−学校の授業は第二外国語といって、中国語と日本語どっちかで一つ選ばないとだめだったんですけど、試験もあるし、日本語は得意だと思ってたので日本語を選びました。でも、学校で勉強する頃はほぼめっちゃ簡単なこと、ひらがなとかカタカナから始めたので、学校はあんまり全然役に立たなかったです。でも、高校の1年生の9月からずっと高校3年生まで日本語の塾はずっと行ってたっす。週3回で1回4時間です。2時間が韓国人の先生が入って文法教えてあげて、で、2時間が日本人の先生が入って、会話を中心的に教えてあげるっていうふうな感じで4時間して。日本語を勉強するときは勉強っていう感じがしなくて。自分が好きなのはけっこう普通夢中になって没頭できるので、楽しかったです。
けっこう優秀な学生だったんです。
−塾で、自分で言ってもあれなんですけど、高校1年生と2年生のときまでは、高校では私、光の大統領とか言われたですよ。塾の光だったんですよ、私。こいつやったら絶対早稲田はいけるとか、そういうふうだったんです。
高校3年生の時にスランプがありました。
−高校3年生のときいきなりちょっと興味がなくなって、日本語に対する。で、あんまり勉強しなかったんですね、一生懸命。それは日本語に対するスランプみたいなの起きてたし、そのときけっこう上のあれだったんですけど、何か月ぐらい頑張ってもあんまり実力が、自分で伸びるのが見えなかったし、あと、けっこうプライドがめっちゃ高いほうなんですけど、私、先生と何かもめ事がけっこうあったんです。その先生、何かプライドとかをつぶす人だったので、いろいろ重ねてちょっとやる気がなくなったんです。ちょっとあと、高校3年のとき遊び好きな友達と遊んで。それと、高校3年入ったら、私の下だった人が私よりうまくなる、そういう現象が現れたので、本当にやりたくなくなって(笑)。
でも焦ることは全然ありませんでした。
−やばいとは思ったんですけども、どうでもいいかなという考えで。あまり人との競争が好きじゃないので、別に気にしてはないです。あっちはあっちの人生なので。
私の勉強の原動力は・・・。
−普通に外国人はどういう感じかとか、そういう興味があったし。日本に来て、本当に日本人の女性に会いたかったんです。私の原動力はいつも女性だけですよ。その原動力、でかいです(笑)、初めっから。
でも本当はやっぱり両親に心配かけられないからです。
−でも、そのときというのは学校の勉強も手離したところやったし、あと、けっこう塾が高かったので、親がそれ全部出してて、で、一生懸命やらないと親には申し訳ないので、お世話になったし。自分が好きな分野でもあるし、それであきらめなかったと思います。意志が弱いんですよ、私。大体結構あきらめるのがめっちゃ早いんですけど。だから、親も結構びっくりしました。
ただ何となく日本に来たということではありません。
−日本に来る前に、韓国で日本語を勉強するときからの私が立てた目標、三つあります。1個は、大学に入ったらサークルに入る。二つは日本人のソウルフレンドを作ろう。三つ目は日本人の彼女を作ろう。自分の居場所とか作りたかった意味もある。
全部目標は達成できました。
−軽音楽サークルの友達ができました。そんなっていうか、そんな友達増えるよりは一人でもいいから、ちょっと心にある話もできる友達が欲しかったので、今は5人ぐらいいます。だから、もうそんなにも要らんかなと思ってるし。サークルに入ったのは、自分の居場所とか作りたかった意味もある。
日本での生活は予想していたとおりでした。
−大体考えてたのと一緒でした。割と現実的に考えてたので。そこまで夢と希望と、そういう幻を持ってきてなかったので。絶対楽しそうって思いました。
日本の生活は特に問題ありませんが、人間関係でちょっと困ったこともありました。
−おかしな宗教に誘うチューターからLINEで何かまたきたのでブロックしました。そういう人からはもう撤退するしか。今のチューターは一緒のサークルの先輩です。めっちゃ信用できる。大学が、あっせん紹介したみたいな。その先輩、評価もけっこういいし、学校で。あと、一緒のサークルなので、頼りになるんじゃないかなと、そういうふうに考えたらしいっす。前の人は1年で終わった。ぶっちゃけああいう人だったらいらないっす。めっちゃめんどくさかったです。でも、めっちゃいい経験でした。あの経験からは、最近は何を言われてもちょっと疑います。とりあえず最初ちょっと疑って行動します。そのときはちょっと盲信的に日本人を信じたところがあるので、あの頃は。今はちょっと疑ってます(笑)。
日本に来てから、日本語は変わりないけれど性格は変わりました。
−日本語は1年生のときとおんなじ感じです。ちょっとつらくなったらすぐ逃げようとするので、そういうところを日本に来てちょっとまた改善できた感じ。一人暮らししながら、さすがに自分でやることをやらないとだめなので、だいぶ強くなりました。
あと、最近外見もよくなりました。
−ただ、毎日毎日が、一晩一晩過ぎるときかっこよくなるなと、そういうのを感じてます。毎晩毎晩過ぎるとき、かっこよくなる、自分を見ました。鏡で。1年生のときはまだぽっちゃりやったんですけど、今のほうがいいっすよ、私。髪は相変わらずストレートで、おでこが広いので、フットサルとか、ああいうイベントは今は参加してないっす。おでこ丸出しになって見えるので。
今日本にいて人にも恵まれていて最高です。
−めっちゃ幸せです。ハッピーすぎて最高です。周りの人々に恵まれてるので、そういうのじゃないですかと思います。周りの人はみんないい人ばっかりおるので、この人じゃないかなと思う。あと、日本が好きなので。私、今、心からそう言っています。私の小さい息子が心臓で言っています。やっぱり一番ひかれたのは日本の和の精神。みんな礼儀正しくて、迷惑かけないようにするとか、あと、まあそういうところ。いや、もう普通に距離を取ってて街歩いててもめっちゃ感じる。私もそういう人になるために今頑張っています。
日本で人と出会うことが日本語の勉強です。
−私は授業だけが日本語の勉強じゃないと思います。もう日本にいる自体が日本語の勉強なので。いろんなとこ行きながらいろんな人と触れ合うのが、本当の真実の日本語の勉強じゃないかと。授業もよかったですよ。先生みたいなすばらしい人と出会えたことが。勉強はやったらいいんですけど、出会いは自分で努力しても出会えないので。
日本ではやっぱり自信を持っていなければなりません。
−勉強がちょっと今心配です、卒業できるかどうか。いま、そこまで心配してないっす。自信はあるので。この自信は顔からです。顔がかっこいいから(笑)。あと、留学生は自信ない態度でいたら絶対ばかにされるので。やっぱり、自信ない態度で接したら、やっぱりちょっと無視される傾向があるじゃないですか。人間は強い人にはだんだん弱くなるし、弱者にはだんだん強くなるほうなので。何かばかにされるとか、日本語できないとか、1回も無視されたことないですよ。だから、実はやればできる子なんですけど、学業は。ただやらないだけ。ポテンシャルはめっちゃ高いんです。差別されたこともめったにないし。やっぱりでも、日本語がいけるほうなので、けっこう、だから、日本語は武器か。でも、武器は顔が99.99%ですかね。でも、漢字とかはまだわからないところがいっぱいあるので、何ていう、顔みたいに、勉強に関してはそんな自慢みたいな、そういうのはできない。
目指すのは日本語マスターです。
−今はまだ自分が考えているレベルではないので。ほぼもう漢字読めるようになって、書けるのもだいたい書けるようになって、ちょっとだけの文法とか、そういうの。日本語マスターを目指しています。
目下の大きな関門は兵役です。
−兵役、やっぱり、めっちゃ邪魔してます。彼女を作るのもできないし。気軽に遊ぶのもできないんです。遊んでるのは遊んでますけど、心の底からは。あ、でも、いつかはこの当たり前だった生活も終わるんやなという感じです。兵役にいくまでもう2か月も残ってないので、最近は現実感がちょっと半端ないです。でも、どうせ兵役にいくから今は適当にしようみたいに気が楽ですよね、もう。帰ってきて第二の人生を作ろうみたいな感じです。もうそのときは着実にバイトもしながら勉強もちょこちょこ頑張る。学生の本分はバイトより私は勉強だと思うので。
将来は好きな日本でずっと暮らしたい。
−帰らないです。絶対嫌です。日本で就職して日本で骨をうずめます。好きになる理由はきっかけじゃなく、きっかけはいらないと思います。大切なのは自分のハートが動くままということです。
(終わり)