女性誌が自己像に与える影響―アンナ・アルマゴーさん
女性誌が自己像に与える影響―アンナ・アルマゴーさん
この数年、欧米では「どんな体型や見た目をした女性でも美しい」という考え方が注目されていて、インターネット上でそのような考えの女性運動が広がっています。でも、日本のファッション雑誌を見ると、日本ではまだほとんど広がっていない気がしました。
インターネットが普及している時代でも雑誌は多くの女性に読まれています。美しさやいいライフスタイルを望んでいる女性はよく雑誌から情報を得ています。雑誌は、画像や記事などにより、さまざまなメディアを通して、流行や社会的にいいと思われる一般的な考えや価値観、理想などを広げています。それに合わせなければ理想的な女性として認められないというプレッシャーを感じる読者が多い中、読者のセルフイメージがどのように変わるかを研究したいと思いました。
そこで、女性を対象とした雑誌が自己像つまりセルフイメージにどのような影響を与えるかについて調べました。女性誌にはどのようなコンテンツがよく表れているのでしょうか。それを調べるために、20代の女性に人気の雑誌をいくつか購入し、詳しく内容を分析してみました。
複数の雑誌に共通点がいくつもありました。非常に多く取り上げられているトピックは見た目に関する話題でした。それは痩せるためのダイエット、体の鍛え方、顔が綺麗に見える肌のスキンケアやメイク、そして健康的な食事とライフスタイルなどでした。また、美しいと思われているモデルの画像を載せ、イメージを与えています。その他にも、外観的見た目だけではなく、characteristic appearance、つまり個人の内面性も、雑誌に載っている内容の1つとなります。例えば、人に好かれる方法や男性に好感を与える方法、大人の女性のマナーと女性らしさを表す方法などです。
以上のようなことわかり、このテーマに関してどのような研究があるかも調べました。Yan & K. Bissell (2014) によると、外観重視のコンテンツの露出は女性にとって悪影響を及ぼすそうです。特に、女の子と若い女性は、病的に痩せ細ったモデルの画像に影響を非常に受けており、理想的な体型を実現するために、低い自尊心、細い身体への欲求不満、食欲不振、過食症、うつ病に満ちた負の道を辿ることもあると述べられています。
そこで、実状と女の子の考えを理解するために、アンケートを作成して、20代の日本人女性の意見を聞いてみました。アンケートの質問項目は21あり、34人が回答してくれました。ざまざまな回答が得られましたが、それらをまとめることができました。いくつか紹介します。
1.ファッション雑誌は読みますか。
2.なぜ雑誌を読んでいますか。
3.雑誌のどんな内容に興味がありますか?
4.雑誌でどんな内容をもっと見たいと思いますか?それはなぜですか?
5.雑誌を見て自分の見た目などに対して自信を失うことはありますか?
6.雑誌の中の「かわいい」「きれい」などに適わない気持ちになったりしますか?
7.プレッシャーを感じた後、実際に何か行動しましたか?
8.これを知ってよかった、役に立ったと思ったことは何ですか?
9.これはちょっとおかしいと思ったことはありますか?
10.最後に言いたいことはありますか?
以上のようなアンケートの結果から、雑誌のようなメディアの影響でコンプレックスになっている女性が多くいることがわかりました。
このような女性の不安を利用して、雑誌はそれを商売にしていると考えられます。追いかけなければならない流行のファッションやメイクなど、痩せるための新しい方法や新ししく「研究」された男性の心理学などが挙げられます。雑誌側からすると、目指す理想は1つしかないようです。しかし、女性のさまざまな性格、見た目とそれぞれの魅力を不問に付して、雑誌は一般的な理想を作り上げています。
その上、元々理想と思われている特徴を持ち、美しいと言われているモデルに繰り返し宣伝させています。それは例えば、大きな目、二重、高い鼻、長い足、細い体、白い肌などです。違う特徴を美しい物として取り上げていないこと自体、そもそも美しさが何なのか信ぴょう性がない可能性があります。
雑誌は、女性のそれぞれの魅力を高めるよりも、「足りない」ところを強調しています。私には、このようなことが雑誌から伝わってきました。そして、読者の日本人女性はまだ雑誌に挙げられているような変化の少ない理想の女性に合わせなければならいというプレッシャーにとらわれています。
特に、日本では周りの人にどう思われているかを欧米より非常に気にしているように思います。欧米などと比べてダイバーシティの多くない見た目、そして合わせることがよしとされている日本の社会では1つの理想的な女性を作り上げるのは簡単なのではないかという結論に至りました。
私の調査と考察は以上です。読んでいただいてありがとうございました。
(終わり)